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あしなが育英会が全奨学生に15万円を緊急支給 高3家庭に現状調査も

2020/04/27

 病気、災害、自死などで親を亡くした子どもたちと、親が重度障がいで働けない子どもたちの進学を支援している一般財団法人あしなが育英会は、新型コロナウイルスの感染拡大によって減収した遺児家庭を支援するため、全奨学生約6,500人を対象に、返還不要の「遺児の生活と教育の緊急支援金15万円」の給付を実施する。

 あしなが奨学金は、毎年春・秋の「あしなが学生募金」と全国からの寄付で支えられている。しかし新型コロナの影響で2020年春に予定されていた第100回の学生募金が中止になり、財源の大幅な減少が懸念されている。そうした厳しい状況のなか、奨学金の安定交付のための積立金を取り崩してでも「今を生き延びてもらうため」緊急支援金の給付を決断した。

 緊急一時金は、全奨学生(高校、専門学校、短大、大学、大学院)の約6,500人に給付する。このうち、入金口座が登録済の2年生以上約5,000人には4月中に送金。入金口座の登録作業中の1年生約1,500人については、作業完了次第、迅速に送金する。なお、今回の支援は現在の奨学生のみが対象となり、これから申し込む場合は対象外。

 また、全都道府県の奨学生のうち2020年4月に高校3年生になる子どものいる家庭の保護者に対し、新型コロナウイルスによる影響について緊急アンケートを行った。

 全国から寄せられた281件の回答からは「収入が半分になり、4月の学費を納入できない」「食費も光熱費も足りず、もう路上生活するしかない」など、切迫した声が寄せられた。遺児家庭の母親はアルバイトや契約社員など雇用が不安定なケースが大半で、数万円の減収でも生活に打撃を受ける。たとえ正規雇用であっても、看護、介護、飲食、接客業など感染リスクが高い職に就いている人も多く、「私が感染したら、子どもはひとりぼっちでどうやって生きていくのか」と、家でも仕事でも常に不安にさらされているという。

 あしなが育英会では、今後も一人でも多くの子どもたちを支えていくため、全国からの支援を呼び掛けている。支援方法には、個人による奨学金の継続支援や1回の支援、遺産の寄付、企業・団体からの寄付などがある。株式会社Tポイント・ジャパンは6月30日(予定)までTポイント募金による支援を受け付けている。

参考:あしなが育英会HP(https://www.ashinaga.org/news/news/entry-8690.html)

大学ジャーナルオンライン:https://univ-journal.jp/31808/

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